NEO HOKUSAI×プリントテクノロジーが生んだ2026年版KOMORIカレンダー ─ アートディレクター×アーティストが語る制作の背景
日時:2026年03月19日(木)
・2026年版カレンダーでは、葛飾北斎と現代デザインを融合した「NEO HOKUSAI」を採用。
・デザインでは「品のある表現」「原作の構図との調和」を重視。
・印刷では触覚表現に挑戦し、作品の魅力を最大化。
・水辺表現では光沢加飾*1により立体感を演出。
・原作と現代要素の"見比べ"が楽しめる構成に。

KOMORIは、「プリントテクノロジーで社会を支え感動をもたらす」というKOMORIグループパーパスを象徴するプロジェクトとして、毎年企業カレンダー制作を行っている。全て自社製の印刷機で印刷しており、KOMORIのプリントテクノロジーを体感できる販促ツールとなっている。2026年版は「FUSION "Nature & Technology"」をテーマに、「NEO HOKUSAI」を絵柄に採用した。こうしたカレンダー制作の取り組みは、凸版印刷(当時)へ多色印刷機を納入したことを契機に、2002年から共同企画として発展してきた。今回、アートワークを手掛けたEnlightenment / エンライトメントのヒロ杉山氏と、絵柄選定から印刷仕上げまでのディレクションを担当したTOPPANグラフィックコミュニケーションズ株式会社デザインセンタークリエイティブ本部の青柳氏に、作品誕生の背景や制作プロセスをうかがった。
対談者プロフィール
Enlightenment / エンライトメント
ヒロ杉山氏

1997年にデザイン事務所Enlightenment / エンライトメントを設立し、デジタルデザインからアートワークまで幅広く手掛ける現代美術作家として国内外で活動している。葛飾北斎とのコラボレーションやブランドとの商品企画など、多様なビジュアル表現を生み出しており、今回のプロジェクトではカレンダーの要となる「NEO HOKUSAI」のアート制作を担当した。
TOPPANグラフィックコミュニケーションズ株式会社
デザインセンター クリエイティブ本部
アートディレクター 青柳 雅博氏
印刷技術と加飾表現に精通し、カレンダー制作においては、アートディレクターとして作品選定から印刷条件の調整、仕上がりの統括まで幅広く携わる。今回はアーティストと連携し、カレンダーとしての完成度を追求する役割を担った。
制作の背景とこだわり
NEO HOKUSAI の起点となったのは、7〜8年前に受けた他プロジェクトでの商品制作の相談だった。「幾何学模様と葛飾北斎の絵柄をミックスした現代風の表現を試みたのが始まりです。日本の伝統的な浮世絵に現代的な蛍光色を取り入れ、サイケデリックな雰囲気を取り入れるというコンセプトです」とヒロ杉山氏は振り返る。
また、デザイン制作の根幹については、「大切にしている価値観は、品のあるデザインです。派手な色を使っていても、意味のあるデザインになるよう意識しています。富嶽三十六景の構図は非常に優れているため、構図そのものは変えずに、どの割合で現代的な要素を加えるかを常に念頭に置きました。今回のカレンダーでは、季節感の流れや色味の調整を全体で統一しつつ、各ページの印象が見る人に自然と受け入れられるよう制作しました。幾何学模様は、特別な意味は持たせず絵柄との調和性を重視しています。数十種類の模様を検証して最適なものを選び、さらに色の濃度や組み合わせを調整して仕上げました。原画の縦横比とカレンダーのサイズが異なり、どこを切り取るかによって印象が大きく変わります。トリミング位置を検証する必要があり、印象を損なわずに収める点が難しかったです」と述べる。
2カ月ごとに絵柄が切り替わるKOMORIのカレンダーは、表紙を含め全7絵柄で構成されている。青柳氏は制作の流れについて、「作家選定では、過去にカレンダーの題材になっていないこと、海外作家の場合は日本国内での活動がまだないことなど、新規性の観点を大切にしています。カレンダーとして初めて世に出ることを目指して選定しています」と語る。
また、作品選定の後には、KOMORIならではのプリントテクノロジーを活かすため、どのような加飾表現を組み合わせられるかを検討する工程が欠かせない。「加飾を考える段階が最も高いハードルで、作品をカレンダーの体裁に収めた時の見え方も並行して検討しながら制作を進めます。今回の『NEO HOKUSAI』は、加飾との相性も良く、非常に魅力的な組み合わせになりました」と付け加えた。

カレンダーの魅力と今後の展望
プリントテクノロジーが持つ大きな価値は、デジタルデータでは再現できない"触覚を伴う表現"が可能になる点だ。「デジタルデータでは色やサイズを簡単に変更できますが、触れることはできません。印刷して実体化することによって初めて触れることができるようになります。例えば水辺のデザインにツヤのある加飾を施すことで、水の質感を感じられます。光の当たり方による見え方の変化をより一層感じることができるのは、グラフィックとプリントが合わさって初めて生まれてくる価値だと思います」と青柳氏。

ヒロ杉山氏は、「『NEO HOKUSAI』は現代の版画だと思っています。版画としての力強さが出せたら良いと考えていた中で、想像以上の仕上がりでした」と評価した。また、色彩表現について青柳氏は、「青の深みを出すために蛍光ピンクを混色することで、通常の青との色調の差をつくるなど、限りある特色*2の中で最大限豊かな表現を目指しました」と特色の使い方の工夫について触れた。
ヒロ杉山氏から読者へのメッセージ
「今までにない葛飾北斎の面白さをぜひ、カレンダーをめくりながら楽しんでいただけたらと思います。また、原作と見比べることで、日本を代表する芸術家である葛飾北斎の凄さも改めて感じてもらえると思います。また、加飾については、わかりやすく入れている部分と、あえて控えめに入れている部分があります。全体を見て楽しむのと同時に、「実はここにも入っていたんだ」という発見もしてもらいながら、長く愛してもらえる作品になれば嬉しいです」

触れて感じる印刷の魅力
2026年版KOMORIカレンダーは、伝統的な葛飾北斎の世界観と現代的デザインのかけ合わせである「NEO HOKUSAI」と、プリントテクノロジーが有機的に融合して誕生した。そこから体感できる新たな価値を、一年を通じてぜひ味わっていただきたい。
*1加飾:見た目や質感を向上させて付加価値を与える技術。より視覚・触覚に訴える表現が可能になる。
*2特色:印刷物に通常用いられる4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)以外の色。追加することで、より豊かな色彩を表現できる。
【技術者編の詳細はこちら】
NEO HOKUSAI×プリントテクノロジーが生んだ2026年版KOMORIカレンダー─デジタルとオフセット、2人の技術者が語る制作の裏側
https://www.komorisolutions.com/report/ja/report/detail_2026calendar_interview2.html
【2026年版KOMORIカレンダーの詳細はこちら】
2026年版KOMORIカレンダーが「第77回全国カレンダー展」で銀賞および日本製紙連合会賞を受賞
https://www.komori.com/ja/jp/information/news/2026/0109_13853.html




