2018.04

株式会社大三オフセット 様

リスロンG37とH-UVインキで顧客立ち合いによるシビアな色指定にも好対応。

  • 鳥羽 直樹
    代表取締役社長
    鳥羽 直樹 氏
  • 渡辺 泰亘
    生産管理部 部長
    渡辺 泰亘 氏

H-UV対応リスロンG37で立ち合いの対応力強化

「学参書や医学書、児童書などの専門書を得意とする顧客をメインに、受注を増やしてきました」 と語るのは、㈱大三オフセットの鳥羽社長。品質に対して非常にシビアな顧客が多く、手間も多い印刷分野において、立ち合いでの対応力に存在感を示してきた。
「今、デジタルプルーフで原稿を作った後、編集者が立ち合って本機校正で色を決めるケースが多くなっています。この場合、オペレーターには編集者の要求を即座に理解し、正確に反映した色を出せる技術が必要です。当社はこの部分に力を入れており、強みとなっています」 と鳥羽社長。品質への要望がますます高まっている現在、立ち合いが増えることはリスクヘッジにもなる。今では、印刷についてあまり詳しくない営業や編集者の意図をくみ取り、色に落とし込むこともできるようになり、信頼性を高めている。
この強みをより業務に反映できるようにするため、2015年2月にリスロンG37(A全判オフセット枚葉印刷機)を導入し、同年8月にはH-UV化している。鳥羽社長は、導入当時からH-UV化を予定していたという。
「導入当初からH-UVに対応するつもりでした。長らく、書籍用紙や出版系の紙が乾きづらいという悩みを抱えていました。また、絵柄が重い4色の仕事が増えていますが、各社がH-UVを導入したら、その仕事がそちらに流れてしまうという心配がありました。当社の技術面は顧客に高い評価を得ていますが、機械の問題で受注が少なくなるのは避けたく、今後の当社に必要だと考えていました」
大三オフセットの工場には、菊半5色機のスペースが空いていた。KOMORIから、ここにH-UVのA全4色機を入れる提案を受け、リスロンG37の導入とH-UV対応を決心した。決め手となったのは、「リスロンのAシリーズだと刷本の積める高さが足りないと思っていたところ、KOMORIさんからリスロンのGシリーズなら200ミリ高く積めるという話を聞いたことです」 と、鳥羽社長は振り返る。

リスロンG37は現在、1件1万程度の規模の案件を主流にしており、昼夜で合計で10万ほど通し ている。

専用H-UVインキは品質と生産性を高めた

同機には、専用のインキであるK-サプライインキ「KG-911」を使用している。品質に対してシビアな案件が多いとのことだが、鳥羽社長は"色"への不安はなかったのだろうか。
「H-UVインキの使用は初めてで、色調が油性と変わらないということが採用の最低限の条件でした。その点では、まったく問題ありませんでした。月に1回、KOMORIさんにツボキーの調整などのメンテナンスをしてもらっていることも、不安を解消する理由になっています。立ち合い時に、色決めが瞬時に確認でき、当社の強みを引き上げてくれていると感じています」
生産管理部の渡辺部長は、リスロンG37、H-UV化について 「当社は顧客が持つ色のイメージを大切にしています。ジャパンカラー認証を取り、オペレーターの色への意識も高まり、色調がより安定してきました。短納期の仕事が多く、入稿日当日に印刷して納める案件もあり、H-UVを使ってみたかったのです」 と、現場は待望していたと話す。実際の導入効果について、渡辺部長は 「油性の5色機があるためパンフレットの表紙の仕事が結構あります。5色目にニスを引く工程があるが、当社では先刷りの4色目をH-UVで刷った後、油性のニス引きを使っています。すると、ブランの粉残りに起因するトラブルが抑えられます」 と、実際の使用例を挙げて説明する。さらに、顧客が立ち合い色を決める時に、油性だと乾くとドライダウンするが、H-UVは紙面にインキが乗るとすぐに乾いて沈まないので、顧客にきれいだと喜ばれていると言う。顧客が求める濃度まで心配なくインキを盛れるという特長も、立ち合いで効果を発揮している。
鳥羽社長は、導入効果として次のことを追加する。「パウダーを起因とする汚れや事故は非常に多いものです。オペレーターもパウダーの量や粉残りなどに神経を使っていましたが、H-UVにはそれがありません。その分、色調に注意を向けるなど品質を高めることに注力できるようになりました」。オペレーターのストレスを減らすことは、生産性向上にもつながっているという。
また生産管理の面でも、H-UVは安心と、渡辺部長は語る。
「H-UVは、乾かす時間を気にせずにそのまま次の工程に移れます。短納期の仕事はH-UVだと安心できます。0・05から0・6ミリの厚さの紙まで対応できるので、紙をそれほど気にせずに顧客の仕事が受けられるのもメリットです。また当社では、親水処理液も一貫してKOMORIさんのものを使っています。インキと水は一番大事なところですが、ここが安定することは生産面で非常に良い効果があります」

H-UV対応化以降、K-サプライインキ「KG-911」を使用。製品のさらなる品質向上につながって いる。

市場状況を見極め、いずれはH-UVならではの印刷に挑戦

H-UV対応のリスロンG37を稼働させて約2年半となる。鳥羽社長は、「現在当社では、H-UV対応のリスロンG37と油性の菊全5色機、菊全4色機の3台を稼働させています。H-UV指定もあれば、油性指定もあります。顧客のニーズに合わせて、3台の特長を生かして活用しています。H-UVならではの付加価値を求めて、例えば特殊原反などを主力にしていくのはこれからですね。市場の一番大きいところで仕事を集めていきたいと考えていますので、市場の伸びを見て時期を判断していきたいと思っています」 と今後の活用方法を見据え、最後に 「そのためには、まず市場が大きくなった時に他社と戦える機械とオペレーターを社内に持っていることが大切です」 と結んだ。

株式会社大三オフセット

本社:東京都板橋区志村1-3-12
TEL:03-3969-9411

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