2019.03

中央精版印刷株式会社 様

PQA-S V5を23台に搭載し、生産性と品質を向上

  • 濱野 篤子
    執行役員 カラー印刷工場本部 本部長
    濱野 篤子 氏
  • 山本 芳弘
    カラー本文印刷工場 工場長
    山本 芳弘 氏
  • 池田 裕一
    カラー付物印刷工場 工場長
    池田 裕一 氏

システムの導入でより厳密な検品が可能に

現在、中央精版印刷㈱では、23台の印刷機にKOMORIのインライン品質管理装置PQA- S V5を搭載、さらにナンバリングシステムも追加し、運用している。このきっかけとなったのは、KOMORIによる、カメラやナンバリングシステムを使い品質管理を自動化する提案だった。
「従来は、オペレーターが目視や濃度計などで品質を管理していましたが、KOMORIの検査システムを導入して、特定した箇所を重点的にチェックすることで、より厳密な検査が可能になるという提案をいただき、導入することを決めました」 と、濱野本部長は導入の経緯を振り返る。この決断を後押ししたのは、印刷品質や製本品質への要求がより厳しくなっているという背景がある。特にデザナーは印刷の知識を深めており、色についてのこだわりが強くなっているという。
「最初に、カラー印刷を扱う3号館に、色や傷などを見る検査システム、インライン品質管理装置PQA-S V5を導入しました。その後、モノクロを扱う1、2号館にも採用しました。モノクロには必要ないという考え方もありますが、当社は、カラーと同様に品質を管理できるシステムが必要という考えです」

PQA -S V5の精度を見て全館の導入を決断

品質管理装置にKOMORIを選んだ理由について、3号館のカラー本文印刷を担当する山本工場長は 「3号館に、導入時からカメラの付いたKOMORIの6色印刷機と6色×4色印刷機があり、その精度の高さを見て、全館KOMORIのシステムを導入することを決めました」 と話す。
導入の成果を、カラー付物印刷を担当する池田工場長は 「カメラが1枚1枚を見てくれることで、オペレーターは非常に作業がしやすくなるのを実感しました。また、機械のトラブルに関しても、油漏れなどを、カメラが初期の段階で感知して知らせてくれ、メンテナンスにもつながっています。当社は交代勤務もあり、トラブル時にKOMORIのサービスが、修理や調整をしてくれることも大きな利点だと考えています」 と評価する。
さらに、作業の変化について「従来オペレーターは、抜き取り検査で仕上がりを確認していましたが、PQA-S V5を入れたことで、カメラが常に1枚1枚を撮影して色調やゴミ付きなどを点検し、オペレーターの作業を補ってくれています。日常の精度の向上に加え、1万枚刷ったら1万枚分の、10万枚刷ったら10万枚分のデータが残っていくことも、色調管理や品質管理のバックアップにつながります」 と池田工場長は答える。
このメリットは、「カラー本文印刷工場でも、同じ効果を生んでいます」 と山本工場長は加えた。

的確に不良を除去して次の工程に回せる

実際に、どのように色調を調整しているのだろうか。
「現在、導入しているのは、自動補正ではありません。濃度が上下しているのが常にグラフで表示されるので、オペレーターはそれに従って、自分の目でも確かめながら色調を調整しています。色が外れると、警報が鳴り 『濃度上昇が何枚出ている』 『汚れが何枚出ている』 などと表示されます。ナンバリングシステムも導入したので、何枚目から何枚目までがヤレかが、一目で分かるようになっています。印刷が終わった段階でそれを除去して、次の工程に渡しています」 と池田工場長。従来、オペレーターが感覚で判断していた作業を、より的確に次の工程に回すことができるようになった。
この効果は、製本などの後工程からの逆戻りが減る 「後戻りしないワークフロー」 の実現にも寄与している。
濱野本部長は 「以前は、不良がどこから出たのかを探すのが大変でした。本文は5000~6000枚というロットもあり、付き物は2000枚前後。全てを抜いて検査していくことは現実的ではありません。システムの導入によって、不良が発生した部分を重点的にチェックすることで、時間短縮、生産性の向上につながっています。速さと正確さを両立するためには、PQA-S V5とナンバリングシステムは欠かせないと感じています」 と、品質向上だけでなく、生産性の向上にも役立っていることを語る。
さらに導入の成果について池田工場長は、オペレーターの意識にも変化をもたらしているという。
「カメラで撮影された印刷物が表示されることで、オペレーターは実際に色調がどういう状態なのかをはっきりと意識するようになりました。従来以上に厳しい目で品質を見るようになったと感じています。カメラに頼り切るのではなく、『こういうものができている』 と明確に示されることは、オペレーターのレベルの向上につながっています」

時間短縮を意識して品質管理装置を運用

PQA-S V5とナンバリングシステムを導入して半年。現場での今後の運用について、池田工場長は 「カメラの性能を最大限に発揮して、なおかつオペレーターがそれに振り回されないように、あくまでオペレーターが使いやすく、品質の良いものを作り出していけるように活用の幅を広げていきたいです」
一方、濱野本部長は経営の視点から 「カメラやナンバリングなどは全て、製品の向上、品質管理のためのものですが、まずは時間短縮を意識して運用していきたいと考えています。人の手と目と機械のコラボレーションによって、1点でも多く、1点でも早く、お客様の要望に応えられるようにしていきます」 と、力強く語った。

PQA-S V5とナンバリングシステム。濱野本部長は「お客様を工場にご案内すると、濃度管理やナンバリングなどのシステムを見て驚かれます。見学後には、『こういうシステムを使って印刷してくれているんだ』と喜んで帰っていかれます。信頼感の醸成にもつながっています」と営業面のメリットを挙げる。

中央精版印刷株式会社

本社:埼玉県戸田市美女木東1-1-11
カラー印刷工場: 埼玉県戸田市笹目6-2-15
TEL : 048-421-1611

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