KOMORI上海トレーニングセンターにて初の印刷技術トレーニングを開催

日時:2025年07月17日(木)~18日(金)

・品質管理の課題に焦点を当てた専門講師によるユーザー向けの研修。
・講義と実技の両面で色調管理と自動制御の最新技術を体験学習。
・インキ、紙、印圧などの変動要因が印刷品質に与える影響について理解を深める。
・作業効率向上の観点から現場での5S実践や品質の基盤となる機械の予防保全を解説。
・現場管理のレベルアップのため、カラーマネジメントの基本的な考え方や取り組みについて習得。


Komori (Shenzhen) Print Engineering Co., Ltd. Shanghai Branch(以下、KPE)は、2025年7月17日・18日の2日間、KOMORI上海トレーニングセンターにおいて第1回ユーザー向け印刷技術トレーニングを開催しました。
同センターは、KOMORIが中国市場における技術支援と人材育成を目的として設立された施設です。

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PDC-SX とKHS-AIの体系的な学び

今回のカリキュラムでは、PDC-SX とKHS-AIの実践的な操作に重点を置きました。これらのシステムをプリプレス工程と連動させ、カラーマネジメントシステムを構築することにより、印刷品質と生産効率の両面での向上が期待できます。印刷品質管理は業界全体が抱える重要な課題でもあり、そのための体系的な理論と実践の知識を今回のカリキュラム全体に盛り込みました。

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実技指導による機器操作の体験

PDC-SXは、自動見当・色調調整機能を備えたシステムで、カラーバーと見当を一度に測定し、ターゲット値とのズレ量を自動でフィードバック補正します。これにより、ジョブ切り替え時間の大幅な短縮、試刷り枚数の削減、印刷中の色調安定性の向上、作業の標準化を実現します。これまで目視判断で行っていた印刷の操作を数値判断と自動制御により行うことが可能です。トレーニングでは、測定条件の設定からトラブルシューティングまで、機器操作の流れを体験いただきました。

KHS-AIは、印刷機を統合制御するKOMORI独自開発のシステムで、自己学習機能により印刷機オペレーターの作業を支援します。異なるインキプリセット曲線を自己学習するほか、PDC-SXとの連携による迅速な色調立ち上げなど、多品種・小ロット生産時の効率化に貢献する事例を紹介しました。 

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品質管理の理論と実践

品質管理セッションでは、基本原理やインキ・用紙・版・印圧など、品質に影響を与える主要な要因にとその相互作用について解説しました。KOMORI印刷機を活用した品質管理の最適化、品質保証の方法を理論とケーススタディを通じて学びました。加えて、5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)や、設備の予防保全の重要性についても紹介しました。

実務に活かせる専門知識と交流の場

本トレーニングは、上海小林印務様の「印刷・共有空間」に併設された上海トレーニングセンターにて、関係者の協力のもと実施されました。特別講師として、上海小林印務有限公司の余国強会長や上海汎彩画像設備有限公司の莫春錦社長をお迎えし、品質管理や色彩管理に関する実践的な講義を行いました。

余会長からは、品質管理の原理と重要な要因やKOMORIの印刷機を活用して品質管理を最適化する方法、また5S活動の理念と手法を説明していただきました。また、莫社長には、CMSに準拠した色合わせの方法やG7など国際基準を含む色彩管理の標準化動向について、専門的な視点から解説いただきました。

交流と今後への期待

参加者同士の相互交流の場としても大きな成功を収めました。受講者同士が切磋琢磨する中で得られた様々な情報が、今後の現場改善や人材育成に活かされることが期待されます。

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今後もKOMORI上海トレーニングセンターでは、より良い印刷の人材育成を目指し、トレーニングコースの継続的な運営と研修内容のさらなるレベルアップに取り組んでまいります。中国のお客様が直面している人手不足や技量不足といった課題に加え、生産設備のより効果的な活用へのニーズに応えることで、印刷現場の生産性向上を図り、業界の持続的な発展に貢献してまいります。

■KOMORI上海トレーニングセンターについて
場所:中国上海市松江区 上海小林印务有限公司3階 印艺・共享空间(印芸・共有空間)内
設立の目的:中国の印刷会社が抱える課題(印刷現場管理人材の育成、オペレーター向けのPDC-SX等の教育)に対応するため、上海小林印務様の施設を活用し、2025年春にKOMORIとしての正式なトレーニング活動を開始した。なお、この印艺・共享空间には中国カラーマネジメントの専門スタッフも常駐しており、最新の色測定の技術の紹介やデジタルプルーフとのカラーマッチングなどの共同実験の場にもなっている。また、印刷関連のサプライヤー、協会、団体など、多くの印刷人が集える相互のコミュニケーション空間としての役割も担っている。