パッケージ印刷で利益をもたらす KOMORIのプリントテクノロジー

日時:2025年06月06日(金)~06日(金)

op223_feature 01.jpg高付加価値印刷やパッケージ印刷の需要は、近年堅調に推移しており、業界全体において重要な成長分野となっています。市場の多様化に伴い、パッケージ印刷業界は変化への柔軟かつ迅速な対応が求められています。多品種・小ロット生産への対応、人材不足の解消、環境負荷の軽減など、企業が抱える課題はますます複雑化しています。本特集では、パッケージ分野における「生産性向上」と「環境対応」の2つのテーマに焦点を当て、これらの課題を解決する最新技術を紹介します。

技術革新で挑む パッケージ印刷業界の課題

現在のパッケージ印刷業界では、社会環境の変化への対応が求められると同時に、新たな技術やトレンドが業界全体に変革をもたらしています。

課題として第一に挙げられるのは人員不足であり、この課題に対応するため、自動化や省人化、ロボット技術の導入が加速しています。これらの技術は、労働力不足を補うだけでなく、生産性の向上にも寄与する点で有効です。

また、少量かつ多品種のパッケージを求めるニーズも継続的に高まっています。大量生産により在庫を持つことは、仕様変更や在庫管理の観点からロスが多く、いかに小さいロットの仕事を効率良く生産していくかが重要となっています。

材料費の高騰も頭を悩ませる課題の一つで、少ない資材で効率的に生産する技術が必要とされています。

さらに、環境に対する課題は、クライアントを含む社会全体の重要なテーマとなっており、消費電力を抑えた印刷機や廃棄物を最小限にする技術がますます求められています。例えば、特色インキの代わりにプロセスカラーによる疑似特色印刷を採用したパッケージの市場投入を始めた企業もあります。また、パッケージを発注する企業の中には、印刷見積もり時に一製品あたりのCO2発生量(=カーボンフットプリント)の提示を求めるケースも増加しています。

製品の高級感や独自性を表現できるパッケージへの期待も高まっており、コールドフォイルや疑似エンボス、マットニスといった加飾技術に加え、ホットスタンプやプレス加工、エンボス加工などの後加工技術と組み合わせた印刷物の需要が伸びています。
このように、パッケージ印刷業界は、課題と向き合いながらも、新しい技術を積極的に採用することで、次なる成長のステージへと前進しています。

効率的かつ持続可能な生産を実現するための最新技術

では、KOMORIの技術はこれらの課題をどのように解決できるのでしょうか。本特集では「生産性向上」と「環境対応」の2つのテーマで、これらの課題を解決する最新技術を紹介します。

生産性向上にはさまざまなアプローチがありますが、単に生産量を増やすだけではなく、限られたリソースを最大限に活用し、効率的かつ持続可能な生産体制を構築することが重要です。今回は、「従業員の労働負荷を軽減すること」と「非生産時間を削減すること」の2点に焦点を当てます。

◆労働負荷の軽減

労働負荷の軽減は、従業員の作業効率向上や職場環境の改善、人材の定着に関わる要素です。特にパッケージ印刷業界では、熟練工の減少や人手不足が深刻化しています。従来の手作業を自動化することで、従業員の肉体的・精神的な負担を軽減し、作業効率を向上させることができ、職場環境の改善や離職率の低下にもつながります。

例えば、オペレーターの目に依存した品質管理は、高い集中力が求められ精神的な負担も大きくなります。また、個人の熟練度にも左右されるため、標準化や効率化が難しい現状があります。

現在、色調管理を自動で行うPDC-SXや、品質検査を自動化する装置PQA-Sは、新しく納入される印刷機の多くに搭載される、現代に必須の装置となっています。
PDC -SX(図1)は、見当や色合わせの確認作業を数値で管理し自動で調整する色調管理装置です。従来感覚で行われていた作業を標準化し、調整にかかる時間と損紙を削減します。さらに、生産ロスにつながる版キズや文字欠けは、PDF照合装置(図2)で防ぐことができます。

op223_feature figure1.jpg【図1】準備時間短縮と損紙削減に貢献する分光式色調管理装置PDC-SX
PDC-SXは、1回の測定で結果が印刷機にフィードバックされるため、ターゲットの色に素早く合わせることが可能です。国際規格であるISO12647-2をはじめ、G7、Japan Colorに対応しており、品質に厳しい顧客との信頼関係構築にも大きく貢献します。op223_feature figure2.jpg【図2】 生産ロスや不正紙の流出を防止するPDF照合装置
版キズや文字欠けなどによる不正紙は、PDC-SXのオプション機能のPDF照合装置により防ぐことができます。初刷り紙を刷版用PDFデータと照合することで不備の検出ができ、生産ロスを削減します。

PQA-S(図3)は、印刷機上のカメラが品質検査を行い、品質管理を自動化する装置です。印刷中に不正紙を検出すると即座にオペレーターへ通知され、後加工工程への不正紙混入を防ぎます。加えて、品質検査だけでなく、印刷中の色調制御や見当調整の自動化を同時に行うことも可能です。
さらに、検査装置で判別した正紙と不正紙はダブルデリバリー(図4)により、自動で仕分けることができます。用紙の仕分け作業は時間と労力がかかり、生産を阻害する大きな要因の一つです。試刷り時のサンプリングにも活用でき、生産効率を向上させます。
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【図3】 高いレベルの品質検査を実現する品質管理装置PQA-S
PQA-Sには、KOMORIが独自に開発した高性能カメラを搭載。カメラが印刷中に情報を読み取り、その結果を印刷機に直接フィードバックすることで、色調や見当を印刷しながらリアルタイムで自動調整します。

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【図4】正紙と不正紙を自動仕分け 検査装置+ダブルデリバリー
ダブルデリバリーは、デリバリーパイルを2つ設けた仕様です。検査装置で判別された「正紙」と「不正紙」を自動で仕分けることで、検品作業を軽減し、後工程へのスムーズな移行を可能にします。また、両方を正紙の積載に使用することで、ノンストップ運転も可能となります。パレット出しのロス時間を削減し連続印刷を実現します。

また、パッケージ印刷で労働負荷の大きい作業の一つに、ニスの量を調整するためのアニロックスローラーの交換が挙げられます。1本約30キロのローラーの交換作業には、2人がかりで対応する必要がある上に、危険も伴います。
この交換作業を自動化する装置がアニロックスロールチェンジャー(図5)です。最大4本のローラーをボタン一つで交換することができ、従来2人で10分を要していた交換作業が1~2分で完了します。安全性と作業の効率化を同時に実現する、KOMORI独自の技術です。
KOMORIは誰もが簡単かつ安全に印刷機を操作できるよう、イージーオペレーションにこだわった技術開発を行っています。
これらの技術が、オペレーターの負担を軽減し、安全かつ効率的な生産現場の構築をサポートします。

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【図5】 重労働を自動化 アニロックスロールチェンジャー
アニロックスロールチェンジャーは、重いアニロックスローラー交換作業を自動化します。コーティングユニット内で切り替えが行われるため、オペレーターがローラーに直接触れることなく、安全かつ短時間で交換作業を完了できます。

◆非生産時間の削減

次に、非生産時間を削減する技術を紹介します。生産以外の時間を短縮することで、設備の稼働効率を最大化し、限られた稼働時間内でより多くの生産を可能します。
パッケージ印刷における非生産時間として最も多くを占めるものが、ジョブの切り替え時間です。

KOMORIは切り替え時間を究極まで短縮するための技術としてスーパーショートメイクレディ(図6)を提唱しています。この技術は最も時間のかかるインキローラー洗浄やインキツボの清掃作業を他の自動工程と並行して実行するシステムです。独自のインカー給水セクショナルドライブ技術の開発により実現しました。前ジョブの終了から版替えや洗浄、プレインキを経て、次ジョブの試刷りまでの工程を、自動かつパラレル制御で実行することで切り替え時間を最小にし、次のジョブを迅速に開始させることが可能です。

また、インキローラー洗浄の性能を向上させる技術としてインキローラー重洗浄があります。ゴムローラーにしみ込んだインキ成分を完全に洗浄することは容易ではなく、何度も繰り返すことがあります。インキローラー重洗浄は、専用剤によってしみ込んだ成分を浮かせる工程を自動プログラムに盛り込んでおり、色替え時間を大幅に向上させる技術です。
その他、ツボローラーをインキローラーと同時に洗浄するツボローラー洗浄、インキツボにインキを付着させないことで清掃作業を不要にするフィルム式インキツボ仕様もラインアップしています。

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【図6】 印刷準備時間を究極に短縮するスーパーショートメイクレディ
スーパーショートメイクレディは、複数の自動工程を組み合わせ、準備作業を同時並行で行うことで、切り替え時間を最小にする仕様です。具体的には、A-APCパラレル制御、自動版交換装置、インカー給水セクショナルドライブなどの技術が含まれています。特に、多品種・小ロット生産での効果は大きく、従来の作業を大幅に短縮できます。切り替え時間の短縮とともに、オペレーターの作業負荷や損紙の削減効果が見込めます。

洗浄後は次の印刷を立ち上げるためにプレインキングを行います。この工程では色合わせ精度を高めるために開発したシステム、プレインキングプラスが効果を発揮します。初刷り時の色調ターゲットと実際の測定値の差分を自動で解析し、以後のリピートジョブにアップデートしたプレインキングの設定を使用することで、初刷りの色調精度を向上させる効果があります。試刷り回数や時間を大幅に短縮すると同時に、損紙やインキのロスを最小限にします。

連続印刷を可能にする機能としては、自動ノンストップフィーダー・デリバリーがあります。給紙と排紙において、印刷中に用紙の積み替えを可能にし、生産効率を向上させます。また、積み替えによる生産停止がないことは、品質安定にもつながります。
そして、これらの自動化技術の効果を最大化するためには、印刷工場全体を効率化させることも重要です。稼働状況を見える化するシステムがKP-コネクト プロです。MISや各工程の機器をつなげることで、複雑な工程管理をリアルタイムで見える化し、最新の作業状況が共有できることで、より効率的な生産現場づくりをサポートします。

環境負荷低減が急務に 持続可能な印刷業界へ

環境負荷の低減は、企業が果たすべき社会的責任として、近年その重要性を増しています。印刷業界では、印刷機の消費電力が環境負荷を構成する主要な要素の一つとなっています。消費電力を抑えることはエネルギー資源の効率的利用とCO2排出量削減の双方に直結します。

こうした背景を踏まえ、2024年に環境配慮型オフセット印刷機性を増しています。印刷業界では、印刷機の消費電力が環境負荷を構成する主要な要素の一つとなっています。消費電力を抑えることはエネルギー資源 advance EX Edition(図7)を開発しました。この最新モデルは、印刷中の消費電力を最大18%削減※することで、CO2の排出量を大幅に抑えることが可能です。

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【図7】 advance EX Editionに新たに搭載された3つの環境機能【図7】 advance EX Editionに新たに搭載された3つの環境機能advance EX Editionには、環境に優しい印刷を可能にするための3つの機能が搭載されています。これらにより、印刷中の消費電力を最大18%削減※効果が期待できます。また、性能を向上させたフィーダー・デリバリーによる安定稼働が損紙を低減し、温室効果ガスの削減と高い生産性を両立します。
※4色機UVモデルで、スマートインキングフローとDCブロアーを併用したときの効果(実測値)


パッケージ印刷で多用する特色の使用にも課題があります。特色の使用には頻繁な色替えが伴うことから、使用する洗浄剤やインキのロスが増加し、廃棄時にCO2が発生します。この課題に対するソリューションとして、KOMORIは、プロセス4色にO(オレンジ)、G(グリーン)を加えた6色で特色を疑似再現する技術スマートカラー(図8)を提案しています。色替えやローラー洗浄に伴う資材の使用量・廃棄量を削減することで、環境負荷を軽減します。
さらに、近年多くの企業が環境配慮を事業活動の重要課題として掲げ、印刷物のCO2発生量(=カーボンフットプリント)の提示が必要なケースが増えています。現在、KP-コネクトにより、電力量や紙の使用枚数、刷版数、インキ使用量などのデータからジョブごとのCO2排出量を算出することが可能です。これにより、企業の環境負荷低減への取り組みをサポートします。
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【図8】パッケージの色替え時間と資材を劇的に低減するスマートカラー
スマートカラーは、CMYKカラーにオレンジ、グリーンを加えて、色域を拡張するソリューションです。インキの乳化を進行させず、極限まで水を絞れるコモリマチック(給水機構)だからこそ実現できるKOMORIの独自技術です。

用途ごとの幅広いニーズに合致する多様なラインアップ

KOMORIでは、これまで取り上げてきた「生産性向上」と「環境対応」を実現する技術を備えた、パッケージ印刷向けの印刷機を多様なフォーマットでラインアップしています(図9)。

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【図9】KOMORIパッケージ印刷向け印刷機 ラインアップ

特に注目すべきは、次の4機種です。フラッグシップモデルLITHRONE GX40 advanceは、あらゆるオプションに対応し、高次元で幅広いニーズに対応できる性能を誇ります。KOMORIならではのユニークなモデルとしては、両面印刷をワンパスで行えるLITHRONE GX40RP advanceと、四六全判で大小さまざまなパッケージの面付けに優位性のあるLITHRONE G44 advanceが挙げられます。また、トップセラーのLITHRONE G40 advanceは、KOMORIのコア技術を集約したスタンダードモデルであり、信頼性と安定性を兼ね備えた機械として、世界中の多くのお客様にご使用いただいています。
今後もKOMORIは、パッケージ印刷業界の進化を支えるパートナーとして、社会とお客様の多様なニーズに応えるべく、さらなる技術の研鑽に努めてまいります。

LITHRONE GX40RP advance

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反転機構を必要としないワンパス両面印刷方式により、パッケージ印刷において圧倒的な生産性と効率性をもたらします。反転印刷に必要な天地方向の余白が不要なため、カラーバーの配置が可能でPDC-SXとPQA-Sによる自動色調制御の運用ができます。さらに、用紙の咥え替えがないため表裏の見当精度が高く、用紙や印刷速度に左右されず、安定して高品質な印刷が可能です。


LITHRONE G44 advance

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セミラージサイズのパッケージ印刷に特化した、最大紙寸法820mm×1,130mmのユニークなサイズが、多様なニーズに応えます。40インチに近い操作性ながら、1シートあたりの面付け効率が良く生産性とコスト効率を飛躍的に高めます。

【新登場】多様な製品への印刷適性を向上した29インチ印刷機 LITHRONE GX29 advance

GLX929-A_Feeder_web.jpgパッケージ、カード、アクリルグッズなど、多種多様な印刷ニーズにフィットする29インチ印刷機LITHRONE GX29 advanceが新登場。透明フィルム原反やメタル(蒸着)紙といった特殊素材への適性が向上し、デザインの自由度とビジネスチャンスを拡大します。さらに、 advance EX Editionに採用されているスマートインキングフロー、DCブロアー、e-ミストといった省エネ機能を搭載しており、環境対応も万全です。

[関連情報]
ソリューションサイト:advance
製品情報:LITHRONE GX40RP advance
製品情報:LITHRONE G44 advance
製品情報:LITHRONE GX29 advance