デジタル印刷の波~デジタル印刷事業の先駆け~(KOMORI 100年史から見る技術と挑戦シリーズ第三回)
日時:2025年12月24日(水)
・1989年からDPSに先駆的に取り組み、印刷のデジタル化を推進。
・世界唯一の40インチ机上デジタル製版システムを搭載したオフセット印刷機「プロジェクトD」を開発。
・コニカミノルタと共同開発したインプレミアIS29で技術賞を受賞。
・ランダ社との提携でナノグラフィ技術を導入し、製品開発を加速。
・インプレミアNS40は、B1サイズ毎時6,500回転の高速印刷で多品種・即納ニーズに対応。
「KOMORI 100年史から見る技術と挑戦」シリーズ(第三回)
本シリーズ「KOMORI 100年史から見る技術と挑戦」では、当社の100年にわたる歩みの中から、特に印象的な技術革新や事業展開をピックアップしてご紹介する。
第3回は、当社がいち早く取り組んできたデジタル印刷機(DPS)事業の歩みに焦点を当てる。
当社は他社に先駆けてデジタル印刷機(DPS)に取り組んできた。
1989 年頃から自社生産した印刷機を試験的に動かしていたのだ。
紙媒体から電⼦媒体への移行が加速する21 世紀、当社は有力企業とも提携しながら、DPS の技術⾰新に挑んだ。
デジタル印刷事業の先駆け
コンピュータのデータから印刷用の刷版を直接出力するCTP(Computer To Plate)の開発を米国の企業と共同でスタートさせたのは、1991 年からである。
その成果は早くも現れ、2 年後の1993 年にはIGAS、IPEX、PRINT などに「全自動刷版出力装置PTP」として参考出品した。オフセット印刷機のメーカーでCTP を手掛けたのは、当社が世界で初めてだった。90 年代後半には、40 インチサイズとしては世界唯一の机上デジタル製版システムを搭載したオフセット印刷機「プロジェクトD」の開発をカナダの企業と進めてdrupa2000で実演し、納入に至った。
その後、2001 年の世界同時多発テロ、2008年のリーマンショックに端を発する世界的大不況、加えて電子媒体の台頭などもあり、印刷業界は小ロット印刷への対応が求められるようになる。業界全体のターニングポイントが迫りつつあった。

全自動刷版出力装置 PTP
コニカミノルタとのビジネス提携
当社はデジタル印刷機ビジネスに参入するにあたり、コニカミノルタとのビジネス提携を行った。始めに、当時のコニカミノルタインクジェット(現コニカミノルタ)と2011 年にB2 サイズインクジェット枚葉印刷機の共同開発契約を締結した。当社はコニカミノルタに反転機能を持つ用紙搬送システムを提案し、コニカミノルタの画像形成システムと組み合わせた新規性の高いインクジェット印刷機の共同開発を行った。この製品はその後、当社ブランドとしては「インプレミアIS29」、コニカミノルタブランドしてはKM-1 として全世界に向けて上市された。
また、並行して当時のコニカミノルタビジネステクノロジー(現コニカミノルタ)の製品であるハイエンドなトナー印刷機のOEM 供給を受けて「インプレミアC80」シリーズとして日本、中国、欧州、米国での販売を開始し、グローバルなデジタル印刷機事業を開始した。
2012 年にはdrupa2012 においてインプレミアIS29 を技術展示し、商業印刷向けデジタル印刷機事業の分野で確かな一歩を記すこととなった。また、その後drupa2016 には同機の製品展示を行い上市した。
インプレミアIS29 はオフセット印刷機とデジタル印刷機双方の技術を融合した機種である。インクジェット印刷でありながらオフセット印刷に迫る高品質な印刷を実現し、それまでのインクジェット印刷では難しかった幅広いオフセット印刷用紙への印刷にも対応をしている。印刷市場から求められている多品種、小ロット、短納期、バリアブル印刷、イージーオペレーションへの対応を可能とすることにより、広く顧客の支持を得た製品となった。このデジタル印刷機としての革新性が評価を受け、米国印刷工業会(PIA)からインターテック技術賞2017 を授与されるまでに至った。

ランダ社との戦略的提携
きっかけは、2010 年、イスラエルのランダコーポレーションからの依頼だった。ドイツで行われるdrupa に出品するデジタル印刷機の生産に関わってほしいというのである。ランダ社はデジタル印刷の父とも称されるベニー・ランダ氏が代表を務める企業。当社はそのデジタル印刷機に紙搬送システムを供給することとなり、これを機にランダ社との協力関係が強まった。
当社とランダ社との戦略的提携の調印式はdrupa2012 の会場(ランダブース)で行われた。この提携により、デジタル印刷機の開発において全面的に協力関係を結ぶこととなった。
中核となるランダ・ナノグラフィ印刷という技術は、数十ナノサイズの顔料粒子を持つインキを使用することで、これまでになく広いCMYK 色域と高光沢な印刷を可能にするものだ。当社は、ランダ社が持つランダ・ナノグラフィ印刷のプロセスを用いた商業印刷市場向けデジタル印刷機の製造および販売のライセンスを取得した。これにより当社のデジタル印刷事業は大きく前進した。
2021 年に投入した「インプレミアNS40」は、B1 サイズを毎時6,500 回転で高速・高精度印刷が可能なフラッグシップモデルで、ランダ社の技術であるRIP とインクジェットのヘッドを採用し、当社独自のコーター装置、反転装置、色調精度制御技術などを搭載した。多品種小ロット印刷や即納が求められるパッケージやディスプレーなどの印刷において、圧倒的な生産能力を発揮した。
2022 年に開催された「東京カメラ部2022 写真展」では、4 億画素の写真をB 1 サイズ4 枚に印刷、それを組み合わせたB1 四倍サイズの大型作品を初披露した。デジタル印刷ならではの鮮やかさと奥行きのある色彩表現は来場者から高く評価され、芸術分野における可能性に大きな期待が寄せられた。

次世代デジタル印刷機J-throne 29
こうした技術の系譜を受け継いで開発されたのがJ-throne 29です。伝統と革新を融合したこの機械は、印刷業界の未来を切り拓く存在として、2025年現在、すでに市場に投入されています。
J-throne 29の詳細はこちら:特集記事『デジタル印刷の進化と市場拡大 J-throne 29が実現する生産性と柔軟性』




