NEO HOKUSAI×プリントテクノロジーが生んだ2026年版KOMORIカレンダー─デジタルとオフセット、2人の技術者が語る制作の裏側
日時:2026年04月01日(水)

・2026年版KOMORIカレンダーは「FUSION: Nature and Technology」をテーマに、伝統的な葛飾北斎の表現と最先端プリントテクノロジーを融合した表現として制作された。
・表紙には最新のUVインクジェットデジタル印刷機 J-throne 29 を初採用し、RGB印刷と新開発インクにより、ラフ調塗工紙でも鮮やかなNEO HOKUSAIの色彩を再現した。
・カレンダーページではLITHRONE GX40 advance EX Editionのダブルコーター技術を活用し、ツヤとマットを使い分けた"触覚で感じる"立体的な表現を実現した。
・今回の制作は、デジタルとオフセット双方の強みを活かし、高付加価値印刷の可能性を拡張する試金石となった。
KOMORIのグループパーパス「プリントテクノロジーで社会を支え、感動をもたらす」を象徴する取り組みの一つが、毎年制作される企業カレンダーだ。全ページが自社製の印刷機で生み出されるカレンダーは、最新技術の実践の場であると同時に、印刷の価値を体感いただける媒体でもある。2026年版カレンダーは、「FUSION: Nature and Technology」をテーマに、伝統とテクノロジーを融合させた「NEO HOKUSAI」をモチーフとして制作。カレンダーページはオフセット印刷を施し、表紙の印刷には初めてB2枚葉UVインクジェットデジタル印刷機 J-throne 29を採用した。
本記事では、J-throne 29 を担当したDPS事業推進部の鈴木(以下、DPS鈴木)と、LITHRONE GX40 advance EX Edition(UV搭載菊全判7色オフセット枚葉印刷機コーター付、GLX-740A+C+C)を担当したKGCプリンティングカレッジの鈴木(以下、KGC鈴木)の両名に、制作の裏側、技術のこだわり、そして次の印刷価値へ向けた視点を聞いた。
対談者プロフィール
DPS事業推進部 鈴木

DPS事業推進部に所属し、デジタル印刷機の販売・導入において技術面からの支援を担当。今回の制作においては、B2枚葉UVインクジェットデジタル印刷機 J-throne 29での表紙印刷を担った。
KGCプリンティングカレッジ 鈴木

KGC*プリンティングカレッジは、オフセット印刷の品質および生産性向上につながる各種研修カリキュラムを開発・提供する印刷教育機関。今回の制作においては、LITHRONE GX40 advance EX Editionを使用しカレンダーページ(1・2月、7・8月)の印刷を担った。
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J-throne 29が支えた鮮やかなNEO HOKUSAI表現
2026年版カレンダーでの新しい取り組みの一つが、最新のUVインクジェットデジタル印刷機J-throne 29によるRGB印刷だ。DPS鈴木は、「今回のカレンダーでは葛飾北斎の作品をベースとした非常にカラフルでポップなデザインが採用されています。モニターで見るイメージに負けないようにJ-throne 29の色域を最大限使用し、いかに鮮やかにモニターの鮮やかな発色に近づけるかに最もこだわりました」と制作を振り返る。こうした高い色再現は、単にモニターとの差を埋めるだけでなく、オフセット印刷物との親和性にも寄与しており、KGC鈴木も「デジタル印刷の印刷物とオフセット印刷の印刷物が混在していても違和感がないと感じました」と評価する。

また、DPS鈴木は実際の仕上がりについて、「オフセット印刷のCMYKでは再現できない鮮やかな発色は、デジタル印刷の特長が最も表れている点だと思います。今回のカレンダーに採用したラフ調のB7トラネクストは、インクが染み込みやすいため、通常は色が沈みがちな用紙ですが、新開発のLED-UVインクにより、インクの染み込みを最小限にとどめ、ラフ系の用紙でも発色の良い仕上がりになっていると思います」と語った。
LITHRONE GX40 advance EX Editionが導く「触れるグラフィック」表現
「NEO HOKUSAI」の世界観に立体感や質感の深みを加えたのが、LITHRONE GX40 advance EX Editionによるダブルコーターを用いた印刷表現だ。KGC鈴木は「見た目だけでなく、触った時にも違いがわかるように表現を工夫しました。2回コーティングできますので、グロスとマットを使い分け、印刷物としての存在感を意識しました。校正段階では、このグロスとマットの表現以外にも、疑似エンボス再現にもこだわり、コーターニスの量や乾き具合まで細かく確認し、 迷いなく印刷できる条件を詰めていきました」と語る。

さらに、複数の加工を一度の通紙で完結できるLITHRONE GX40 advance EX Edition ならではの構成も、今回の制作を支えたポイントとなった。グロスとマットの 2種類のコーティングを含む工程をワンパス*2で処理できるため、途中で紙を再セットする必要がなく、狙った表現を安定して再現できる。「2パスを行わずに済むことで条件に迷いがなくなり、見当ズレのリスクも最小限に抑えられます。多工程を一度にこなせる構成だからこそ、オフセット機 ならではの"狙った通りに刷れる"再現性を活かしたフローが組めました」と述べる。
今回の制作で再確認したKOMORI機の特長
J-throne 29についてDPS鈴木は、「KOMORIが100年の歴史で培ったオフセット印刷機の搬送技術を受け継ぎ、安定した高生産性を誇るデジタル機です。デジタルならではの簡単で安全な操作システムも搭載しており、短期間で操作を習得することが可能です。また、最大750x585㎜というB2サイズを超える用紙サイズに対応しており、名刺やDM等の多面付けジョブでも力を発揮します。和紙やユポ紙*3といった特殊原反へも高い品質で印刷することができ、仕事領域の拡大にも寄与できる印刷機です」と語る。

KGC鈴木は「狙った通りに刷れる安心感」をKOMORI機の魅力として挙げ、「質感や細かい表現にこだわった分、条件出しはシビアでしたが、そこをしっかりと詰めれば機械がちゃんと応えてくれるというのがKOMORI機の大きな魅力だと思います」と触れた。
読者へのメッセージ
DPS鈴木
「デジタルのシンプルな操作性とオフセットに迫る生産性を両立したJ-throne 29は、お客様の課題を解決し、新しいビジネスへ視野を広げてくれる印刷機です。特に、ワンパスでの両面印刷が可能な点は、書籍やパンフレット、名刺やDM等、両面印刷が求められる仕事で力を発揮できます。また6,000枚/時の高生産性も大きな特長ですので、従来はオフセット印刷の領域であったロットの長い仕事にも活躍できると考えています」
KGC鈴木
「機械の特長を理解して工夫すれば、印刷工程だけでも価値は作れます。『いつものやり方』にとどまらず、一歩踏み込めば印刷の可能性は大きく広がります。LITHRONE GX40 advance EX Editionはカレンダーの他、パッケージやカードなど高付加価値な販促物での活躍が期待できます。特に、ブランドイメージを大事にした印刷物など、「きれいに刷る」だけじゃなく、印刷そのものが価値になる仕事で活躍できる機械だと思います」
LITHRONE GX/G advance EX Editionの詳細はこちら
29-inch Sheetfed UV Inkjet Digital Printing Press J-throne 29の詳細はこちら
*1 KGC(KOMORI Graphic Technology Center):プリントテクノロジーの研究開発やデモンストレーション、印刷人材の育成・技能研修に関わるKOMORIグループの中核的機関。
*2ワンパス:紙を印刷機に一度通すだけで刷り工程が完了する方式で、高い見当精度と作業効率を実現する。




