KGCの歩みと進化― 印刷産業の未来を切り拓くスマートファクトリー(KOMORI 100年史から見る技術と挑戦シリーズ第七回)
日時:2026年04月27日(月)

・1968年に小森印刷スクールを開設し、印刷技術習得のための体系的な教育を開始した。
・2009年に小森グラフィックテクノロジーセンター(KGC)を開設し、「デモンストレーションセンター」、「プリンティングカレッジ」、「R&D センター」、「トレーニングセンター」の4機能を集約した。
・2014年にKGCをリニューアルし、オフセット・デジタル・ワークフローを統合した総合印刷ソリューションの提供を強化した。
・IoTやオンライン情報発信を取り入れ、2019年に「KGC」サイトを開設、2023年に「KGC通信」を開始した。
・2024年に第三次リニューアルを実施し、「印刷工場の仮想スマートファクトリー」(KGCスマートファクトリー)としての活動を開始した。
「KOMORI 100年史から見る技術と挑戦」シリーズ(第七回)
本シリーズ「KOMORI 100年史から見る技術と挑戦」では、当社の100年にわたる歩みの中から、特に印象的な技術革新や事業展開をピックアップしてご紹介する。
第七回は、「小森グラフィックテクノロジーセンター(KGC)」の誕生と、その進化の軌跡を振り返る。
KGC の原点、小森印刷スクールの誕生
当社は1968 年9 月、印刷機械業界初の試みでもある小森印刷スクールを開設した。印刷技術の習得を目指す人たちに勉強の場を提供し、お客様へのサービス向上を果たすことを目的に、新規にオフセット印刷機を使用する人、経験不足で十分に使いきれていない人、使用技術は持っているが理論を知らない人などを対象に、6 日間または11 日間の全日教育を施すもので、共同印刷の協力により講師に適任者を獲得し、当初は3 カ月に1 度、1970 年1 月からは一般にも公開し毎月1 度のペースで開講した。講義は理論指導を徹底し、良い印刷物をつくるためのノウハウについてのカリキュラムが組まれた。ベテランの講義と併せて、小森の各種印刷機械を実際に使って実習訓練を行う方式は、「理論に裏付けられた実践的な教育」という高い評価を受けた。
小森グラフィックテクノロジーセンター開設
2009 年、新生つくばプラントの誕生とともに、当社は新たな機能を持つ施設をオープンさせた。それが、敷地の一番東側の区画にある小森グラフィックテクノロジーセンター、通称KGC だ。
この年の10 月10 日、当社はお客様やお得意様、関係者様を招いて披露式を行った。その席で、当時の小森善治社長は次のように挨拶を述べた。
「このたび、印刷関連技術の総合的な施設としてKGC を新設いたしました。KGC は印刷関連産業ならびに大学等との共同研究、当社商品のデモンストレーション、技術トレーニングなど、さまざまな機能を集約し、さらにナレッジマネジメントを行うことにより、業界やお客様の情報発信拠点として、印刷産業発展のために少しでもお役に立ちたいと考えております」
KGC が有する機能は「デモンストレーションセンター」、「プリンティングカレッジ」、「R&D センター」、サービス面の研修施設として「トレーニングセンター」の4つに大別される。
「デモンストレーションセンター」とは、お客様に当社システムに実際に触れてもらい、その商品を評価してもらおうというものだ。商談立ち会い、見学・拡販対応、新技術提案対応など内容は多岐にわたり、付加価値印刷、ワンパスでの高生産性印刷、ジョブ切り替えから早期立ち上げ、品質確認、環境対応など、さまざまなデモンストレーションを可能とした。
お客様に印刷や印刷技術に関する教育を行う機能が「プリンティングカレッジ」である。オフセット印刷全般から機械操作やメンテナンスまで、さらに印刷初心者からベテラン、あるいは管理者まで、あらゆる熟練度に対応したカリキュラムを用意した。一つの技術や操作、セッティングなどに特化したポイント集中コースがあることも特長の一つだった。
そして、新技術の研究開発を行うのが「R&Dセンター」である。印刷技術の基礎研究やお客様の要望に応える技術開発はもちろん、印刷資材・周辺機器メーカーとの共同研究による新製品や新技術の開発、産学協同や官民連携による研究なども積極的に行うこととなった。
当社はこうした取り組みを通じて、印刷産業ならびに印刷文化の発展に寄与するとともに、当グループのさらなる発展を目指した。

お客様へのデモンストレーション

印刷に関する教育を行うプリンティングカレッジ
経営理念である「顧客感動企業の実現」を強化し、印刷および印刷機械技術の構築と技能研修に関わる当社グループの中核機関として機能することを目指したKGC は、社内だけでなく、お客様、さらには印刷に関わるすべての人たちに開かれた施設としてスタートした。
KGC がリニューアルオープン
開設当初からある4つの機能「デモンストレーションセンター」、「プリンティングカレッジ」、「R&Dセンター」、「トレーニングセンター」は、以下の通り統合、強化された。
「デモンストレーションセンター」では、仮想印刷工場として、お客様が購入を検討している機械を使用し、印刷の機能・性能、パフォーマンス、サンプルの出来具合などを、お客様自身がチェック、確認できるようにした。
「プリンティングカレッジ」はトレーニングセンターとしての機能を強化した。参加型で実技中心のトレーニングにより、お客様の印刷技術向上、人材育成を担うものとした。印刷に関する出張診断、コンサルティングなど、印刷会社の新入社員から管理者に至るまで、受講者のレベルやニーズに応じてきめ細かなカリキュラムを提供することとなった。
「R&D センター」の強化も見逃せない。印刷機械にとどまらず、印刷資材の研究開発も行うこととした。H-UV インキをはじめ、印刷ローラーや洗浄液、湿し水など、当社の印刷機と相性の良い資材をラインアップし、K- サプライ商品として製品化する機能も有した。
そして、これらのソリューションを広めるためグローバルなプロモーションを展開した。それまでも、日本、アメリカ、オランダ、中国の4 拠点で、最新の印刷技術の情報共有を図るため、ナレッジバンクとしての機能を構築していたが、海外3 拠点にKGC 機能を設置し高度な技術によるサポート体制を強化した。これは自社のみならず、今後の印刷技術全体の進化に大きく貢献したいと考えてのことだった。
こうしてリニューアルオープンしたKGC が目指したのは、「オフセット+ デジタル+ ワークフロー+ 印刷資材・印刷機材」という総合的な印刷システムを通して、当社の新たな事業戦略や企業活動を体験してもらうことである。それは、印刷業界の未来をお客様と共創していこうという当社の強い意志の表れに他ならない。
IoT を活用した施策も次々と打ち出した。2019年には「KGC」サイトを開設した。お客様が抱えるさまざまな疑問や課題により迅速に対応するためだ。最新の技術や情報を提供し、新人からベテランまでの人材育成の支援も可能とした。そして、2023 年、この専用サイトから教育、最新技術、研究開発を中心とする情報を発信する「KGC通信」の提供を開始した。
当社の提供する情報が、お客様のスキルアップや印刷作業効率アップに少しでも役立ってほしい――その思いを当社は一つ一つ形にしていったのである。


2014年にリニューアルオープンしたKGC
第三次リニューアル
2024年には第三次リニューアルを実施し、KGCは「印刷工場の仮想スマートファクトリー」(KGCスマートファクトリー)としての活動を開始した。全工程をリアルタイムで監視する「中央管制室」を設置し、複数の大型モニターを使い、作業進捗状況を一目で把握できる。中央管制室の機能は、KOMORIの製造実行システム(MES)「KP-Connect Pro」によって全て管理されている。スケジュールや進捗状況をリアルタイムで収集・解析することで、生産性の向上と品質管理の高度化を実現する。今後もKGCは、「印刷会社」「アライアンス企業」「KOMORI」が三位一体となって印刷工場の生産性を最大化する「オープンイノベーションハブ(拠点)」として進化を続ける。
KGCスマートファクトリーサイトはこちら:
https://www.komorisolutions.com/kgc/ja/smart_factory.html
プレスリリース「KGC第三次リニューアルオープン KP-Connectアライアンスプログラムによる「印刷工場の仮想スマートファクトリー化」を実現」はこちら:
https://www.komori.com/ja/jp/information/news/2024/1018_13703.html




